戦略その3: どの法律分野を最初に勉強すべきか。重要な分野は何か。
ご無沙汰しております。業務などが忙しくなってきて、おろそかにしてしまいました。申し訳ありません。
ですが、平成24年度試験まではまだ半年あるので、このブログ的にはまだまだ時間があります。
さて、前回の 戦略その2: 多肢選択式には時間を割かない では問題の形式とその配点から、多肢選択式には時間を割かず、五肢択一式の問題および記述式に時間を割こうと書きました。今日はどの法律分野に注力するかを書きますが、それに当たってまずどういう順序で勉強するかについて述べます。(まんべんなく力を掛けていくというやり方もあると思いますが、このブログでは取り上げません。ですがそのやり方をする方にとっても順序は重要だと思うので見てみてください。)
まずどんな分野があるか確認しておきます。
- 憲法
- 民法
- 行政法
- 商法
- 会社法
- 基礎法学
のような感じになります。で、実際にはこのどれもが出てきます。
さて、私個人は実は、一番下の「基礎法学」から勉強しました。なぜって法律に疎かったからです。法律には触れたことがなかったし、むしろ毛嫌いしてました。妙な言葉が多いし、耳慣れない言い回しがあるし、独自の考え方みたいなのがあるので。なのでできるだけ早くそういうのに慣れようと思って基礎法学からはじめたのでした。
これはよい順序だったと思います。今言ったように、法律自体に慣れることができたからです。アレルギーが減り、少し暗号が解読しやすくなったと思います。
もちろん、行政書士試験では条文を覚えてしまう必要はあまりありません。が、勉強時に条文を参考にしないというわけではないです。なので独特な言葉遣いとか基本的な考え方に慣れているかどうかだけでも勉強効率に差が出ると思います。こういったことから、一番最初に基礎法学やるのを私はお勧めします。
といっても、順番として一番最初というだけであって「一番重視しろ」という意味ではないです。あくまでもとっかかりとして、一度基礎法学をさらっと通っておくべきだ、ということです。
基礎法学を終えたら、以下の順序で勉強するのをお勧めします。
- 行政法
- 民法
- 憲法
- 会社法
- 商法
この順序は基礎法学とは異なり、重要な順に並べました。つまり、この順に注力していくべきだということです。ただし、行政法と民法は逆にしてもいいです。だいたい同じくらいの重要度ですので。行政法の方が、五肢択一式では多い感じですが、記述式では民法の方が多いイメージがあります。なので同じくらい、少し行政法の方が重要でしょうか。嫌いじゃない方からはじめると、勉強を続けやすいかもです。どちらにしても、この二つの分野に対しては、7,8割は取れるようなイメージに持って行けるといいでしょう。
ちなみに、民法の方が取っつきにくいと思います。考え方が妙に特殊というか、日常生活に近い事柄を扱っているのにまるで別の常識の世界のような感じだからです。つまり今まで身につけてきた常識と対立するというか、民法の考え方自体を脳みそに入れないといけない感じです。その点、行政法は覚える項目が多くてめんどくさい感じもありますが、論理的に訳が分からないみたいなことは少ないです。がんばれば覚えられる感じです。
なお、どちらを先にやったとしても、以下の参考書に書かれていることをだいたい覚えてしまえば8割以上は取れると思います。
2012年版 出る順行政書士 合格基本書 (出る順行政書士シリーズ) 東京リーガルマインド 東京リーガルマインド 2012-01-06 by G-Tools |
最後に蛇足ですが…。
実は、将来の業務へのつながりを考えると、断然民法の方が重要です。というか行政法的なことは、少なくとも私は今のところ、実務では使っていません。行政法は「行政への異議申立をどうするか」が中心テーマなので、そういったことを業務の中心にされている方の場合は実務に直結するかもしれませんが、そういう先生は寡聞にして知りません。そもそもたいていは行政とは対決しないものです。時間も食うし、何よりお金にならないからです。ですが民法は別です。民法に規定された契約の考え方や連帯保証・連帯債務、相続や遺言の基本、登記についての基礎的な理解、その他時効についての理解などは行政書士として基本的なスキルです。「行政書士試験は行政書士の実務とは無関係だ」といわれることが多いのですが、私は民法と会社法に限ってはそんなことないと思います。これらに慣れ親しんでおけば、実務のスタートがうまく切れると考えています。